三本木農業高校、馬術部 〜盲目の馬と少女の実話〜
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春ロケ(2007年4月20日〜)
■ お花見するのも、ひと苦労 〜桜待ち〜
クランクインは4月20日。三本木農業高校(以後、三農)の屋上のシーン、まだ雪帽子をかぶる八甲田山を背景に狙う。八甲田山を臨むためには気温・湿度・風向など様々な条件が必要だが、当日は天候に恵まれて見事撮影、快調な滑り出し。春ロケは「神頼み」撮影、桜の開花と馬の出産をしっかりと好条件で撮影することがテーマだ。この年の桜の見頃予想は4月24日。だが、まるで咲く気配がない。三農はどこも見晴らしがよく、カメラを向けると桜の木が見える場所ばかり。ひとまず撮影できるものは全て終え、腕組みひたすら開花待ちの日々。おだてても祈っても、なかなか咲いてくれない。ようやく満開を迎えたのは5月4日であった。

■ 見事な助産っぷり 〜出産〜
出産シーンを撮影したのは、三農から30分程の距離にある荒谷牧場。産気づいたらアッという間に産まれてしまうこともあり、毎日状態を聞く。従来の予定日を過ぎても、いまだ兆候は現れず、松方さん、黒谷さんは一旦帰京。牧場のご主人は馬体を常時チェック、5月10日とみていたが、6日早朝、突然に産気づく。「間に合わない」絶望の中、東京に連絡。奇跡的に産気は治まり、夕方には全員到着。万全の態勢で迎えた深夜、再び産気づく。乗馬経験豊富な先生役三人の見事な処置で無事出産。牧場の厚い協力の下、臨場感溢れる場面となった。

夏ロケ(2007年8月20日〜)
■ 真夏の乗馬生活 〜猛特訓〜
8月5日から2週間、馬術部員役の俳優たちは合宿生活。春ロケ前にも、三農に泊まりこみ合宿を行い、三農生の日常生活を肌で感じてもらったが、夏は馬術練習がテーマ。実際の馬術部員とともに早朝から夜まで馬の世話と馬術練習に励んだ。東京で練習を積んできたとはいえ、撮影は三農で世話している馬に乗ってである。馬術部顧問、藤森先生の下、俳優と担当馬の人馬一体の猛特訓。相次ぐ落馬で、打身に捻挫と怪我人が続出。病院通いの毎日も、近づく競技会の撮影に向けて、痛みと怖さをおして障害を飛ぶ練習が日々続いた。

■ コスモを演じた! 〜4頭の馬〜
撮影でコスモ役を演じた馬は4頭。まずは本物のタカラコスモス。馬房をぐるぐる回わったり牧草地にぽつんと動かないでいるシーンで登場。2頭目は、出産と仔別れを撮影した馬、カバリセリエ。そして最後の大会で飛べないシーンを演じたベル。通常の馬はバーを避けるため、バーを足でコツコツする演技は、なかなかハイレベルなのだとか。そしてクライマックスの、コスモがジャンプするシーンを演じたコスモセカンド(スタッフ命名)。4頭の名演技も見どころの一つ。

■ 吹き替えなしの馬術大会 〜成果〜
夏ロケのヤマ場は競技会。帆乃夏先輩の最後の大会と香苗がコスモで出場した大会を8月26日と28日に続けて撮影。特訓の末、各々の馬とコミュニケーションが取れ、飛べるようになってきた俳優たちだったが、みな満身創痍の状態で不安だらけだ。競技会のシーンは、実際同様にコースを周ってゴールするまでをノンストップで撮影する。一部代役で撮影という案もあがるが、本人たちの努力を信じて全員出場、華麗な飛越で馬場を駆け抜けた。

■ キングの名演技 〜転倒〜
キングの転倒は、夏ロケもう一つのヤマ場。全国の牧場から探したイメージに合う黒い馬を、まずは藤森先生が調教。飛べるようになった後、転ぶ練習をするために富山の牧場へ。2週間の調教で、「飛んで着地に失敗して転び」、「合図を出すまで起きない」馬となって三農に戻ってきた。スタッフや役者が見守るなか、転倒シーンは無事に終了。キングの名演技は馬術関係者も脱帽。

■ 母仔馬の涙 〜仔別れ〜
春に出産をした馬、カバリセリエ親子で仔別れのシーンを撮影。24時間いつでもそばにいる母仔馬が引き離される残酷さは、人間に例えればわかるだろう。「撮影だから」といっても馬は理解してくれない。仔馬を引き離した途端、母馬は大暴れして馬房を飛び出そうとする。仔馬も母馬を慕って激しく嘶く。痛々しいほどのリアルな叫びに心が揺れた。

冬ロケ(2008年2月4日〜)
■ 十和田の冬 〜雪待ち〜
青森県でも、十和田は降雪の少ない地域。しかし、駅で香苗と賢治が電車を待つシーンは雪の中で、と決めていた。冬ロケはわずか8日間。2月に入ると雪どころか連日快晴。積雪も溶け出し、撮影隊は恨めしく空を見上げる日々。撮影も残すところあと3日。今日も快晴、早朝シーンや昇る朝日を撮影後、突如、大雪が降り始めた。急いで駅のスタンバイ、十和田観光電鉄さんの協力のもと、旧車両を走らせての大撮影。しんしんと雪が名調子で降りつもる中、香苗と賢治の叙情豊かなシーンが演じられた。

■ 学校の協力に感謝 〜卒業式〜
卒業式の撮影は、3連休の初日の2月9日。生徒さんの都合もあろうと、出演協力が可能な方のみで、とお願いした。学校側で事前に親御さんに説明、承諾を頂くなど準備を整えてくれたおかげで500名もの生徒が参加。立派な卒業式になった。本作が1年を通してスムーズに撮影できたのは、学校の全面協力に尽きます。三本木農業高校の皆様にはあらためて感謝申し上げます。本当にありがとうございました!